天使幼稚園未満児棟

1965年に設立された天使幼稚園に新たに加わった認定こども園部門は、3歳未満児の保育と給食調理場の機能を補う目的で計画されました。敷地は既存幼稚園の裏手に位置し、駐車場として利用されていた場所で、段差のある二つのレベルで構成されています。このレベル差を有効に活用し、体格差のある3歳未満児(0-2歳)と3歳以上児(3-5歳)のスペースの独立性を保ちながら、効率よく給食調理場にアクセスできる建物を目指しました。

配置計画では、既存幼稚園と同じレベルにある1階部分に給食調理場を設置し、3歳未満児の保育スペースは敷地の一段上がった場所に2階部分として平屋状に配置しました。平面計画は、子供たちの管理がしやすいシンプルなレイアウトとし、室内から外部への視線が気を散らさないように、モアレ状のフィルムを貼るなど、既存幼稚園での運用経験を反映させています。特に天井高はあえて低く設定し、子供たちに安心感を与えるよう特別な配慮を行いました。

内装は、低い天井高や外部への視線の抜けの少なさ、そして管理の観点から増えた木製建具の影響で屋内が閉鎖的にならないよう、白を基調とした色彩で統一しました。外観は淡色を基調とし、緩勾配の屋根を採用することで、周辺の田園的な環境に馴染むよう配慮しています。

子供たちの成長を見守る視線が寄り添う、大きなキャンバスのような建築を実現しました。この建物が、地域の子供たちにとって安心して過ごせる場所であるだけでなく、日々の成長を支える大切な拠点となることを期待しています。