伊那市民体育館附属施設

この施設は、既存の体育館と同じ敷地内に建てられ、既存施設に不足している会議室と軽運動の機能を補完するためのものです。当初の計画では、既存の体育館と新施設を新設の屋外通路で接続する予定でしたが、駐車場内の車の通行が分断されること、さらに建物を接続すると既存建物の改修が法的に必要となり、追加のコストが発生するため、駐車場内に独立した別棟として計画することとしました。

建物の設置場所については、西側の既存体育館を除き、周囲の視線を遮るものはなく、特に東側には塩見岳や仙丈ヶ岳などの南アルプスの山々を望むことができます。そこで、外壁は全ての面に大きな窓を設け、2階からは南アルプスの眺望を、1階東側の窓からは駐車場の桜を間近に楽しめるデザインとしました。これにより、日常的に見過ごされがちな山々や桜の存在が新たに認識され、施設が周囲の自然環境を再発見するきっかけになることを期待しています。外観の色は、モダンな外観の既存体育館に合わせ、黒とシルバーのツートンカラーとしました。内装の色は、空間の背景となるようモノトーンで統一しています。

新しい附属施設が、利用者にとって快適で機能的な空間を提供するとともに、地域の景観を改めて楽しめる場所になることを目指しました。この施設が多くの人々に親しまれることを願っています。

※前職での担当物件